運用・マネジメント

外注したインサイドセールスの管理方法|定例の回し方とアジェンダ例

執筆:山崎 陸(株式会社リクエッジ 代表取締役) ・ 公開

この記事の要点

  • 外注したインサイドセールスの成果は、発注側が「商談の結果」を外注先に返せているかで大きく変わります。
  • 定例は週次で数字と改善点を短く確認し、月次で方針・リスト・スクリプトを見直す二段構えにすると、管理の負担を抑えながら改善が回ります。
  • 開始前に役割分担・アポの基準・連絡ルールを文書で決めておくことが、外注後のトラブルを防ぐ最も確実な方法です。

結論:外注は「任せきり」ではなく「定例で一緒に改善する」

インサイドセールスを外注したあと、よくある失敗の一つが任せきりにしてしまうことです。外注先は架電のプロであっても、発注側の商材、顧客、営業部門の事情までは最初から分かりません。発注側が情報を渡し、商談の結果を返し続けることで、はじめて外注先の架電は精度を上げていきます。

そこで必要になるのが、開始前の取り決めと、定例による管理です。定例といっても、長い会議を何度も開く必要はありません。週次で数字と改善点を短く確認し、月次で方針を見直す、という二段構えにすると、発注側の負担を抑えながら改善を回すことができます。

筆者はアデコで営業統括マネージャーとしてインサイドセールスのSVを担い、独立後は外部の立場で複数の企業のインサイドセールスを支援してきました。社内のSVと外部の支援者という両方の立場から見ると、成果が出るチームには「情報の往復」が途切れないという共通点があります。

開始前に決めておくべきこと

外注を始める前に、次の項目を文書で取り決めておきます。口頭の合意だけで始めると、数週間後に「そういう意味ではなかった」という食い違いが起きやすくなります。

項目決める内容決めないと起きること
アポの基準相手の役職、ヒアリング項目、商談の形式件数は出るが商談にならないアポが増える
役割分担リスト作成、スクリプト修正、日程調整、商談後の連絡の担当誰もやらない作業が生まれる
連絡ルール日次報告の方法、緊急時の連絡先、質問の窓口判断が必要な場面で架電が止まる
記録のルールCRMへの入力項目、通話録音の共有方法引き継ぎ情報が不足し、商談で聞き直しが発生する
NGの対応架電してはいけない企業、使ってはいけない表現既存顧客や取引先への誤った架電が起きる

特に重要なのが架電してはいけない企業のリストです。既存顧客、商談中の企業、競合、取引先などを事前に共有しておかないと、思わぬトラブルにつながります。

キックオフで共有したい資料

  • 商材の説明資料:営業担当が商談で使っている資料と、よく聞かれる質問への回答集
  • 受注した顧客の傾向:業種、規模、導入のきっかけになった課題(社名は伏せてもかまいません)
  • 失注の主な理由:価格、タイミング、競合との比較など、商談で見送られた理由
  • 営業部門の商談枠:アポを入れてよい曜日・時間帯と、担当者の割り振り方

受注した顧客の傾向と失注の理由は、外注先がリストの優先順位やヒアリング項目を考えるうえで、最も役に立つ情報です。社内では当たり前になっている情報ほど共有が漏れやすいため、キックオフの段階で意識して渡しておきましょう。

顧客情報を外注先に渡す場合は、取り扱いのルールや契約上の定めを確認してください。個人情報保護法などの詳細は専門家への確認をおすすめします。

日次・週次・月次の管理の型

管理の頻度ごとに、確認する内容を分けておくと、発注側の負担が小さくなります。

日次:報告を受け取るだけにする

日次は会議を開かず、チャットやメールで報告を受け取る形で十分です。架電数、接続数、アポ数、取得したアポの詳細、判断が必要な質問を共有してもらいます。発注側は、質問にだけその日のうちに回答します。

週次定例:30分程度で数字と改善点を確認する

週次定例は短く、毎週同じアジェンダで行います。

  1. 先週の数字の確認(段階別の数字と前週との差)
  2. 取得したアポの商談結果のフィードバック(発注側から)
  3. 架電中に多かった断り文句や、相手の反応の傾向(外注先から)
  4. 今週試すこと(トークの修正、リストの優先順位など)を一つか二つ決める

月次定例:方針とリスト・スクリプトを見直す

月次では、一か月の数字の推移を見ながら、より大きな方針を見直します。ターゲットの業種や規模を変えるか、アポの基準を変えるか、スクリプトの構成を見直すか、といった判断です。営業部門の責任者にも参加してもらうと、現場の判断と方針がずれにくくなります。

週次で「試すこと」を一つか二つに絞るのがコツです。一度に多くを変えると、どの変更が効いたのかが分からなくなります。

発注側が必ず返すべき「商談の結果」

外注したインサイドセールスの改善が止まる最大の原因は、取得したアポが商談でどうなったかが外注先に伝わっていないことです。外注先は、自分たちが取ったアポが有効だったのか、どこが不足していたのかを知らなければ、次のアポの質を上げられません。

商談結果は、次のような簡単な形式で返すだけでも効果があります。

  • 有効だった:次の商談や提案に進んだ
  • 保留:ニーズはあるが時期が先
  • 無効だった:決裁に関与していない相手だった、ニーズがなかった、など理由を添える

フィードバックの伝え方の例

「先週のA社のアポは、担当の方が導入の判断に関わっていない立場でした。次回からは、ヒアリングの最後に『導入をご検討いただく場合、ほかにどなたが判断に関わりますか』と一言確認していただけますか。」

このように、事実と、次にどうしてほしいかをセットで伝えると、外注先もすぐにトークやヒアリング項目に反映できます。

改善依頼の伝え方と録音の活用

改善を依頼するときは、「アポの質が低い」「もっと件数を」といった抽象的な指摘は避けます。何が問題で、どう変えてほしいかを具体的に伝えるほうが、外注先も動きやすくなります。

通話録音を一緒に聞く

可能であれば、通話録音を共有してもらい、定例の中で一件だけ一緒に聞く時間をつくるのがおすすめです。商材に詳しい発注側が聞くと、「この質問への答え方は正確ではない」「この業界ではこの言い方のほうが伝わる」といった、外注先だけでは気付きにくい改善点が見つかります。

依頼の優先順位を付ける

改善してほしい点が多いときは、優先順位を付けて伝えます。すべてを同時に直そうとすると、架電担当が混乱し、かえって成果が落ちることがあります。

よい点も伝える

うまくいったアポや、商談で高く評価された引き継ぎがあれば、それも伝えましょう。何が良かったのかが分かると、外注先はその型をチームで再現できます。

依頼の記録を残す

定例で決めた改善依頼は、日付と内容、その理由を一覧にして残しておきましょう。翌週の定例で「先週依頼した質問の追加は、商談の質にどう影響したか」を確認できるようになり、改善が言いっぱなしで終わるのを防げます。担当者が交代したときの引き継ぎ資料としても役立ちます。

よくある失敗と対策

よくある失敗対策
報告書を受け取るだけで中身を見ていない週次定例で、数字の変化と商談結果を必ず話題にする
外注先からの質問への回答が遅い質問の窓口を一人に決め、その日のうちに回答する
営業部門がアポに不満を持っているが、外注先に伝わっていない営業部門の声を、発注側の担当者が整理して定例で共有する
途中でアポの基準が変わったが、文書が更新されていない基準を変えたら、日付付きで文書を更新し、外注先と共有する
成果が出ない理由を外注先だけの責任にするリスト、商材の伝え方、商談側の対応も含めて原因を一緒に探す

外注先との関係は、発注と受注の関係であると同時に、同じ目標に向かうチームでもあります。数字だけで評価するのではなく、原因を一緒に探す姿勢が、結果として成果を早く引き上げます。

外部に任せる場合の考え方

これから外注を検討する場合は、外注先が定例や商談結果のフィードバックを前提とした運用を提案してくれるかを確認しましょう。架電の件数だけを報告し、改善の提案がない外注先では、発注側の管理負担が大きくなります。

リクエッジでは、架電の実行に加えて、スクリプト設計や定例での改善提案を含めた支援を行っています。料金は個別見積りですが、目安として架電実行(時間契約)は3,500円〜/時間・月40時間〜(税別)です。

よくある質問

外注したインサイドセールスの定例はどのくらいの頻度で行うべきですか?

週次で30分程度の定例を行い、月次でより大きな方針を見直す二段構えがおすすめです。日次は会議ではなく、チャットやメールでの報告で十分です。

発注側の担当者は誰がなるべきですか?

営業部門の事情を理解し、外注先からの質問にすぐ答えられる人が適任です。営業部門とインサイドセールスの橋渡し役として、商談結果を整理して外注先に返す役割を担います。

外注先の成果が出ないとき、すぐに契約を見直すべきですか?

まずは段階別の数字と商談結果をもとに、原因がどこにあるかを一緒に確認しましょう。リストや商材の伝え方、アポの基準に原因があることも多く、それを直すことで成果が改善する場合があります。

通話録音は外注先から共有してもらうべきですか?

可能であれば共有してもらうことをおすすめします。商材に詳しい発注側が聞くことで、外注先だけでは気付きにくい改善点が見つかります。録音の取り扱いは事前にルールを決めておきましょう。