展示会リードのフォロー

展示会名刺のランク分け基準|A〜Dの判定条件と優先順位の付け方

執筆:山崎 陸(株式会社リクエッジ 代表取締役) ・ 公開

この記事の要点

  • 展示会名刺のランクは「関心度(何を話したか)」と「適合度(自社の対象企業・担当者か)」の2軸で判定すると、担当者による判断のぶれが小さくなります。
  • A〜Dの各ランクには、ブースでの具体的な発言や行動を判定条件として書き、誰が見ても同じランクを付けられる状態にします。
  • ランクは会期中の仮判定で終わらせず、会期後の架電で得た情報をもとに上げ下げし、次回の展示会に向けて基準自体も見直します。

結論:「関心度」と「適合度」の2軸で判定する

展示会名刺のランク分けは、関心度(ブースで何を話し、どんな反応だったか)と適合度(自社が狙う業種・規模・部署・役職に合っているか)の2軸で判定するのが実務的です。

ランク分けが機能しない現場では、「なんとなく感触がよかった」「長く話した」といった担当者の印象だけで判定されていることが多くあります。印象だけの判定には2つの問題があります。1つは、人によって基準が違うため、同じ会話でもAになったりCになったりすること。もう1つは、熱心に話を聞いてくれたものの、実は自社の対象外の企業だった、というケースを拾ってしまうことです。

2軸で判定すれば、「関心は高いが対象外」「対象企業だが今は関心が薄い」といった違いを分けて扱えます。それぞれに合ったフォローを選べるのが、ランク分けの本来の目的です。

ランク分けの目的は名刺を整理することではなく、限られた架電時間を、商談につながる可能性が高い相手から順に使うことです。基準はシンプルなほど現場で使われます。

A〜Dランクの判定条件(例)

以下は、多くのBtoB商材で使いやすい判定条件の一例です。自社の商材や出展目的に合わせて言葉を調整してください。

ランク判定条件(例)フォロー方針
A対象企業・対象部署で、具体的な課題や検討時期の発言があった。デモ・見積り・担当者からの連絡を希望した最優先で架電し、商談日程を打診
B対象企業で、課題への共感や製品への関心はあるが、時期や予算の話は出ていないAの次に架電し、課題と時期をヒアリング
C情報収集目的、または立ち寄りのみ。対象企業だが担当外、または対象外だが関心はあるお礼メールと情報提供。反応があれば架電
Dノベルティ目的、学生、同業者、競合企業など営業リストから除外、または別管理

2軸で整理すると、次のようなイメージになります。

適合度:高(対象企業・担当)適合度:低(対象外・担当外)
関心度:高(課題・時期の発言あり)AC(担当者の紹介を依頼)
関心度:中(関心はあるが具体性なし)BC
関心度:低(立ち寄りのみ)CD

「関心は高いが担当外」の相手は、見落としやすい有望な入口です。たとえば情報システム部門の方が、実際の利用部門の課題を代弁していることがあります。この場合は、架電で「実際にご担当される部署の方をご紹介いただけないでしょうか」とお願いする前提でCに置き、優先度を少し上げて扱うとよいでしょう。

商材や出展目的に合わせた基準の調整

上の判定条件はあくまで出発点です。同じA〜Dでも、商材の性質や展示会に出る目的によって、どこに線を引くべきかは変わります。

検討期間が長い・高単価の商材

システムの入れ替えや大型の設備など、検討に時間がかかり複数部署が関わる商材では、ブースで「すぐ導入したい」という発言が出ることはまれです。この場合は、「次回の見直し時期」や「現在の契約の更新時期」が聞けたかどうかをAの条件に入れると現実的です。時期が先でも、その少し前に確実に接触できれば十分に価値のあるリードになります。

比較的手軽に試せる商材

無料トライアルがあるツールや、少額から始められるサービスでは、意思決定が早い傾向があります。「試してみたい」「上長に共有したい」という発言をAの条件にし、会期後すぐにトライアルやデモの案内につなげる設計が向いています。

出展目的による違い

  • 商談獲得が目的:Aの条件を厳しめにし、架電の優先順位をはっきりさせる
  • 新製品の認知が目的:Cの母数を広く取り、継続的な情報提供の対象を増やす
  • 特定業界への参入が目的:適合度の軸を細かくし、狙う業界の名刺は関心度が低くてもBに置く

出展前に「この展示会で何を得たいのか」を社内で確認し、それに合わせてランク基準を調整しておくと、会期後のフォローの方向性がぶれません。

ブースで判定に必要な情報を聞く質問

ランクを正しく付けるには、ブースでの会話の中で判定材料を自然に聞き出す必要があります。尋問のように聞くと嫌がられるため、説明の流れに組み込みます。

関心度を判断する質問

  • 「今日はどのようなテーマで情報を集めにいらっしゃいましたか」
  • 「今、◯◯の業務はどのようなやり方で回されていますか」
  • 「その中で、手間がかかっていると感じるところはありますか」
  • 「何か具体的に見直しのご予定があったりしますか」

適合度を判断する質問

  • 「◯◯の業務には、普段どのように関わっていらっしゃいますか」
  • 「こういった仕組みを入れるとなると、どちらの部署が中心になりそうですか」

次のアクションを確認する質問

  • 「後日、詳しい資料をお送りしてもよろしいですか」
  • 「もしよろしければ、担当からあらためて画面をお見せする時間をいただくこともできますが、いかがでしょうか」

最後の質問への答えは、ランク判定の強い材料になります。「ぜひ」と言われればA、「資料だけで」と言われればBかC、というように判定しやすくなります。また、この時点で「後日ご連絡します」と伝えておくと、会期後の架電が「約束した連絡」になり、相手も受け入れやすくなります。

ランク判定を現場で揃えるための工夫

ランク基準を作っても、ブースで忙しい中では基準表を見返す余裕はありません。現場で判断を揃えるための工夫を挙げます。

  1. 会期前に読み合わせをする:判定条件を担当者全員で確認し、「この会話ならどのランクか」をいくつかの例で練習しておきます。
  2. 判定はその場で仮付け:名刺を受け取った直後に、ランクの記号と一言メモを書きます。後でまとめて付けると、誰と何を話したかが混ざります。
  3. 迷ったら高い方に付ける:AかBか迷った場合は、会期後の架電で見極めればよいので、高い方に付けて取りこぼしを防ぎます。
  4. 根拠を一言残す:「来期にシステム入れ替え予定」「上長に相談したいと発言」など、ランクの根拠となった発言を書いておくと、会期後の見直しが楽になります。

名刺に書き込んだメモやランクも、社内で扱う顧客情報の一部です。保管場所や閲覧できる人の範囲を決め、不要になった紙の名刺の扱いも含めて社内ルールを整えておきましょう。個人情報の取り扱いについての詳細は、専門家への確認をおすすめします。

会期後にランクを見直す運用

会期中のランクはあくまで仮判定です。会期後の架電で得た情報をもとに、ランクは積極的に上げ下げします。

架電で得た情報ランクの動き
検討時期・予算・決裁者について具体的な話が出たAに上げて商談打診
Aだったが、検討は来年以降と判明Bに下げ、時期の前に再接触する予定を登録
担当外だったが、担当者を紹介してもらえた紹介先を新たなリードとして登録
対象外と判明Dに下げ、理由を記録

また、展示会が終わった後には、どのランクから実際に商談が生まれたかを振り返ります。「Bランクから意外と商談になった」「Aランクでも特定の業種は商談化しにくかった」といった傾向が見えれば、次回の展示会の判定条件に反映できます。ランク基準は一度作って終わりではなく、展示会ごとに育てていくものです。

筆者は独立後、SaaS企業や人材紹介ITサービスなどのインサイドセールスを支援してきましたが、そこで重視しているのもリードの見極めによって時間あたりの商談数を最大化することです。展示会リードは数が多い分、見極めの基準があるかどうかで、同じ架電時間から生まれる商談の数が大きく変わります。

外部に任せる場合の考え方

ランク基準は、自社の商材や営業方針を最もよく知る社内で決めるのが基本です。そのうえで、架電を外部に任せる場合は、判定条件をそのまま共有し、架電で得た情報によるランクの見直しも委託先に行ってもらう形が効率的です。

株式会社リクエッジでは、ランク基準づくりの段階からご相談いただけます。どの発言を「有望」とみなすかを一緒に言語化し、それに沿ったトークで架電することで、フィールドセールスに渡す商談の質を揃えることを目指します。

よくある質問

ランクは何段階に分けるのがよいですか?

A〜Dの4段階程度が扱いやすいです。段階が多すぎると判定に迷いが生じ、少なすぎると優先順位を付けにくくなります。まず4段階で運用し、必要に応じて調整するのがおすすめです。

ブースで会話できなかった名刺はどう扱えばよいですか?

名刺交換だけで会話内容がない場合は、適合度だけで仮判定します。対象企業・対象部署であればC、それ以外はDとし、お礼メールの反応を見て個別に接触するのが現実的です。

役職が高い人の名刺は優先すべきですか?

役職は適合度の判断材料の一つですが、それだけで優先度を決めるのはおすすめしません。決裁者であっても関心が低ければすぐの商談は難しく、現場担当者の強い課題感から商談が進むことも多いためです。関心度と組み合わせて判断します。

競合企業の名刺が混ざっていた場合はどうしますか?

Dランクとして営業リストから除外し、別に管理します。お礼メールの一斉送信の対象に含めないよう、データ整備の段階で分けておくと安心です。