架電・トークの実務

トークスクリプトの作り方|テレアポ・インサイドセールスで使える構成とトーク例

執筆:山崎 陸(株式会社リクエッジ 代表取締役) ・ 公開

この記事の要点

  • トークスクリプトは「受付対応」「名乗りと用件」「課題の確認」「提案とアポ打診」「切り返し」「締め」の6パートで構成し、相手の反応ごとの分岐まで用意するのが基本です。
  • 作成前にターゲット、相手が抱えていそうな課題、アポの定義を決めておくと、話す内容に一貫性が出て、商談につながるアポが取りやすくなります。
  • スクリプトは完成品ではなく仮説です。録音と段階別の数値をもとに、どのパートで会話が止まっているかを特定して改善し続けることが重要です。

結論:スクリプトは「6パート+分岐」で設計する

テレアポ・インサイドセールスのトークスクリプトは、読み上げる台本ではなく、会話の流れと分岐を設計した地図です。基本の構成は次の6パートです。

  1. 受付対応:担当部署・担当者につないでもらう
  2. 名乗りと用件:誰が、何のために電話したのかを短く伝える
  3. 課題の確認:質問で相手の状況を聞き、関係がありそうかを見極める
  4. 提案とアポ打診:相手の状況に合わせて、面談の価値を伝えて日時を打診する
  5. 切り返し:断り文句に対して、状況を確認する質問で会話をつなぐ
  6. 締め:日時、参加者、確認事項を確定し、引き継ぎ情報をそろえる

多くのスクリプトは、2と4だけが厚く、3と6が薄くなりがちです。しかし、商談につながるアポを取るうえで差がつくのは、相手の状況を聞く3と、引き継ぎ情報をそろえる6です。私(山崎)がスクリプトを設計するときも、アポの件数だけでなく、その後の商談まで含めたパイプラインを大きくすることを目標にしています。

作成前に決めておく3つのこと

いきなりトークを書き始めると、誰に何を言っているのか分からないスクリプトになります。書く前に、次の3つを決めます。

1. 誰に電話するのか

業種、規模、部署、役職を決めます。同じ商材でも、経営者に話すのか、現場の責任者に話すのかで、刺さる言葉が変わります。経営者には売上や人員の話、現場の責任者には日々の手間や運用の話が響きやすい傾向があります。

2. 相手はどんな課題を抱えていそうか

ターゲットが抱えていそうな課題を3つ程度、仮説として書き出します。たとえば営業支援の商材なら、「新規の商談が足りない」「展示会の名刺が放置されている」「営業担当が既存対応で手一杯」といった仮説です。スクリプトの質問は、この仮説を確かめるために作ります。

3. 何をもってアポとするか

面談相手の条件、確認すべき事項など、アポの定義を決めておきます。定義が決まっていれば、締めのパートで何を確認すべきかが明確になります。

パート別のトーク例

ここでは、BtoB向けの営業支援サービスを例に、各パートのトーク例を示します。自社の商材に置き換えて使ってください。

受付対応

「突然のお電話失礼いたします。株式会社○○の△△と申します。新規のお客様づくりの件でお電話いたしました。営業部のご責任者様はいらっしゃいますか」

受付では、用件を長く説明しすぎないことがポイントです。部署と役割を指定してつないでもらいます。

名乗りと用件

「お忙しいところ失礼いたします。株式会社○○の△△と申します。私どもは法人向けの新規商談づくりをお手伝いしている会社でして、本日は1分ほど、御社の新規開拓の状況を伺えればと思いお電話しました。いまお時間よろしいでしょうか」

所要時間を短く示し、相手に話を聞くかどうかの選択肢を渡します。

課題の確認

「ありがとうございます。ちなみに現在、新規のお客様との商談は、主にどのような経路から生まれていますか」

「展示会や問い合わせのリードは、どなたがどのタイミングでフォローされていますか」

はい・いいえで終わらない質問で、相手の状況を話してもらいます。ここで聞いた内容が、次の提案の材料になります。

提案とアポ打診

「なるほど、展示会の名刺は営業の方が手の空いたときにフォローされているのですね。そうした状況では、フォローの順番と初回の連絡方法を整理することで、商談につながる接点を増やせる場合があります。30分ほどオンラインで、御社の場合どのような進め方ができそうか、具体的にお話しする機会をいただけないでしょうか。来週ですと、火曜か木曜の午後はいかがですか」

相手の言葉を繰り返してから提案し、日時は二択で提示します。

締め

「ありがとうございます。それでは○月○日○時から30分、オンラインでお時間をいただきます。当日はご担当の方以外に、ご一緒に聞かれる方はいらっしゃいますか。招待のURLをお送りしたいので、メールアドレスを伺えますか」

締めで確認して引き継ぐ項目

アポが取れたら、商談担当者が準備できるよう、会話で聞いた内容を次の項目で整理して引き継ぎます。スクリプトの末尾にこの項目を載せておくと、確認漏れを防げます。

項目記入例
面談相手と同席者営業部長、営業企画の担当者が同席予定
現在の状況新規商談は紹介と問い合わせが中心。展示会名刺のフォローは手が回っていない
相手が口にした課題「営業が既存対応で手一杯で、新規に時間を割けない」
検討時期の目安来期の営業計画を立てる前に情報を集めたい
当日聞きたいこと費用感と、社内で何を準備すればよいか

相手が口にした言葉は、できるだけそのまま残すのがポイントです。商談担当者が同じ言葉を使って話を始めると、相手は「話が伝わっている」と感じ、商談の入り方がスムーズになります。

分岐と切り返しを用意する

実際の会話は、スクリプトどおりには進みません。相手の反応ごとに、次の一言を用意しておきます。代表的な分岐は次のとおりです。

相手の反応次の一言の例
「間に合っています」「ありがとうございます。差し支えなければ、現在はどのような方法で対応されていますか」
「資料を送ってください」「承知しました。御社に合った資料をお送りしたいので、いま一番気になっている点を一つだけ伺えますか」
「今は忙しい」「失礼しました。改めてお電話するなら、何日の何時ごろがよろしいでしょうか」
「担当ではない」「失礼しました。この件ですと、どちらの部署のどなたにお伺いするのがよいでしょうか」
「今は検討していない」「承知しました。ちなみに見直しのタイミングがあるとすれば、いつ頃になりそうですか」

切り返しの目的は、断りを覆すことではなく、相手の状況を一つでも多く知ることです。アポにならなくても、検討時期や現在の運用が分かれば、次回の架電やメールにつなげられます。断り文句ごとの詳しい切り返しは、別の記事で解説しています。

よくある失敗と改善の進め方

よくある失敗

  • 冒頭で商品説明を始める:相手は話を聞く理由がないまま説明を聞かされ、早い段階で電話を切ってしまいます。
  • 質問がはい・いいえで終わる:「お困りではないですか」と聞くと「困っていません」で会話が終わります。
  • 全文を一字一句読み上げる:棒読みになり、相手の反応に合わせられません。要点と言い回しの例を示す程度にとどめます。
  • 締めで確認が漏れる:同席者、連絡先、課題の要点が抜けると、商談の質が下がります。

改善の進め方

スクリプトは最初から完成しません。改善は次の順で進めます。

  1. 段階別の数値(接続、担当者接続、アポ)を見て、どこで会話が止まっているかを特定する
  2. そのパートの録音を数本聞き、相手が離脱した直前の一言を確認する
  3. 言い回しを一つだけ変えて、一定期間試す
  4. 変更前後で数値と録音を比べ、良ければ正式版に反映する

一度に複数の箇所を変えると、何が効いたのか分からなくなります。変更は一度に一つ、変更日と内容を記録しておくことがポイントです。

外部に任せる場合の考え方

スクリプト作成を外部に依頼する場合は、完成したスクリプトを受け取るだけでなく、ターゲットと課題の仮説、分岐、改善の仕組みまで一緒に設計してもらうことをおすすめします。

株式会社リクエッジでは、パイプライン最大化を狙うスクリプト設計と切り返しトークの整備を強みとしています。設計・スクリプト作成は10万円〜/一式(目安・税別・個別見積り)で、架電実行や改善の振り返りまで続けてご依頼いただくこともできます。フードデリバリー一元管理SaaSのISでは1日平均約2件(最高5件)、人材紹介ITサービスのBDRでは1日1件のアポ獲得を実現した経験をもとに、商材に合わせたスクリプトをご提案します。

よくある質問

トークスクリプトはどのくらいの長さが適切ですか?

冒頭の名乗りと用件は、相手が聞いてくれる短い時間で伝えきれる長さに収めるのが基本です。全体の分量よりも、各パートの要点と分岐が整理されていることが重要です。一字一句読む台本ではなく、話す順番と言い回しの例と考えてください。

スクリプトどおりに話すと棒読みになってしまいます。

全文を読むのではなく、各パートで伝えるべき要点だけを覚え、言い回しは自分の言葉に置き換えて構いません。ロールプレイで何度か話すと自然になります。録音を聞き返して、相手の反応を待つ間が取れているかも確認しましょう。

スクリプトはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

立ち上げ直後は数値と録音の変化が大きいため、週次で見直すのがおすすめです。数値が安定してきたら、隔週や月次でも構いません。ターゲットや商材の訴求点を変えたときは、その都度見直します。

業界ごとにスクリプトを分けるべきですか?

課題や使う言葉が業界ごとに大きく違う場合は分けたほうが効果的です。まず共通の骨格を作り、課題の確認と提案のパートだけを業界別に差し替える形にすると、管理の手間を抑えられます。