業種・地域別

北海道・札幌の企業がインサイドセールスで全国開拓する方法と進め方

執筆:山崎 陸(株式会社リクエッジ 代表取締役) ・ 公開

この記事の要点

  • 北海道・札幌の企業が全国へ販路を広げるには、訪問前提の営業ではなく、電話・メール・オンライン商談で完結するインサイドセールスの仕組みが現実的です。
  • 道外の見込み客には「北海道から電話している」ことを隠す必要はなく、オンラインで対応できる体制を先に伝えれば、距離は不利になりにくくなります。
  • 最初は道外の一つの地域・業種に絞り、スクリプトと引き継ぎのルールを固めてから対象を広げると、少人数でも全国開拓が回ります。

結論:全国開拓は「訪問しない営業」の仕組みづくりから始める

北海道・札幌の企業が道外へ販路を広げたいとき、最初に立ちはだかるのは移動の問題です。首都圏や関西の見込み客を一件ずつ訪問していては、時間も交通費もかかり、営業担当の稼働の多くが移動に取られてしまいます。

そこで有効なのが、電話・メール・オンライン商談で、見込み客の発掘から商談までを完結させるインサイドセールスです。インサイドセールスは、拠点がどこにあっても同じ条件で全国の企業にアプローチできるため、地理的な距離がそのまま不利になりにくい営業手法です。

株式会社リクエッジも札幌を拠点にしながら、オンラインで全国の企業のインサイドセールスを支援しています。拠点の場所と、営業できる範囲は切り離して考えられる時代です。この記事では、北海道・札幌の企業が道外開拓のためにインサイドセールスを立ち上げる進め方を、手順に沿って解説します。

北海道の企業がインサイドセールスと相性が良い理由

北海道の企業にとって、インサイドセールスは「仕方なく選ぶ手段」ではなく、むしろ相性の良い営業手法です。理由を整理します。

観点訪問中心の営業インサイドセールス中心の営業
道外へのアプローチ出張のたびに日程を集中させる必要がある札幌にいながら毎日アプローチできる
冬季の影響天候で移動が止まると商談も止まる天候の影響を受けにくい
1日あたりの接点数移動時間に左右される架電とオンライン商談で接点を積み上げやすい
商談の記録個人の手帳や記憶に残りがちCRMに残し、チームで共有しやすい
対面の価値毎回対面受注が近い段階や重要顧客に絞って訪問できる

大切なのは、訪問をゼロにすることではありません。見込み客の発掘と初回商談をオンラインで行い、受注が見えてきた段階や重要な顧客にだけ出張する、という訪問の使いどころを絞る設計にすることです。こうすると、限られた出張の機会を最も成果に近い場面に集中できます。

道外企業への架電で意識したいこと

道外の企業に電話するとき、「北海道の会社です」と伝えると不利になるのでは、と心配する方もいます。しかし実際には、所在地を隠す必要はありません。むしろ、相手が気にしているのは「遠い会社とやり取りして、きちんと対応してもらえるのか」という点です。そこに先回りして答えれば、距離は話題の一つにすぎなくなります。

所在地を伝えるときのトーク例

「札幌に本社がある株式会社○○の鈴木と申します。全国のお客様とオンラインでお打ち合わせをしておりまして、本日は御社のような製造業の企業様に、在庫管理の仕組みについてご案内でお電話しました。」

「遠いですよね」と言われたときの切り返し

「はい、拠点は札幌ですが、お打ち合わせからその後のサポートまでオンラインで対応しております。もちろん、必要な場面ではお伺いすることも可能です。まずは30分ほど画面共有でご説明させていただけないでしょうか。」

ポイントは、オンライン対応が「距離の言い訳」ではなく「標準の進め方」であることを、落ち着いて伝えることです。

北海道らしさを強みとして使う場面

商材やサービスによっては、北海道の企業であることそのものが関心を引くきっかけになります。たとえば寒冷地での運用ノウハウがある、一次産業や観光に関わる知見がある、といった場合は、それを冒頭の一言に入れると話を聞いてもらいやすくなります。

「寒冷地の現場で使われてきた仕組みをもとにしたサービスでして、冬場の設備トラブルの対策についてご案内しています。」

自社の強みが北海道という環境から生まれているなら、それは道外の企業にとって差別化のポイントになり得ます。

全国開拓のためのインサイドセールス立ち上げ手順

いきなり全国すべてを対象にすると、リストも話す内容も広がりすぎて、何が成果につながったのかが分からなくなります。少人数で始めるなら、次の手順がおすすめです。

  1. 最初の対象を絞る:道外の一つの地域、または一つの業種に絞ります。既存の道内顧客と似た業種から始めると、導入事例を話しやすくなります。
  2. アポの定義を決める:オンライン商談の設定をゴールにするのか、資料請求や情報交換の約束までを成果とするのかを先に決めます。
  3. スクリプトを用意する:冒頭の名乗り、所在地とオンライン対応の伝え方、ヒアリング項目、断られたときの切り返しまでを用意します。
  4. 架電とメールを組み合わせる:電話がつながらなかった企業にはメールで要点を送り、後日の架電で「先日メールをお送りした件で」と切り出します。
  5. オンライン商談への引き継ぎを決める:誰が商談を担当し、どの情報を事前に共有するかを決めておきます。
  6. 振り返りと対象の拡大:最初の対象で反応の良かった切り出しや業種を確認し、似た地域・業種へ広げていきます。

時差がない国内であれば、架電の時間帯は道内向けと大きく変える必要はありません。ただし、地域や業種によって忙しい時間帯は異なるため、反応の良い時間帯を記録しながら調整していくのが確実です。

オンライン商談への引き継ぎで失注しないために

全国開拓では、インサイドセールスが獲得したアポを、札幌にいる営業担当がオンライン商談で引き継ぐ形が中心になります。対面で会う前に関係をつくる必要があるため、引き継ぎの質がそのまま商談の質を左右します。

  • 商談前に必ず確認メールを送る:日時、オンライン会議のURL、当日話す内容を簡潔にまとめ、相手の準備を促します。
  • 相手の課題を引き継ぎメモに残す:電話で聞いた困りごとを、相手の言葉のまま営業担当に共有します。
  • 商談の冒頭で電話の内容に触れる:「先日お電話でお話しいただいた月末の集計の件から伺えればと思います」と始めると、相手は「話が伝わっている」と安心します。
  • 訪問のタイミングを決めておく:オンライン商談で検討が進んだら、どの段階で現地に伺うかを社内で決めておくと、出張の判断がぶれません。

オンライン商談は、相手にとっても移動の負担がない進め方です。「遠いから会えない」のではなく、「オンラインだから早く話せる」という伝え方を、チーム全体でそろえておくことをおすすめします。

道内営業と道外インサイドセールスの役割分担

全国開拓を始めると、既存の道内顧客への対応と、道外の新規開拓をどう両立させるかという問題が出てきます。同じ営業担当が両方を抱えると、どうしても目の前の既存顧客対応が優先され、道外への架電は後回しになりがちです。

そこで、役割をあらかじめ分けておくことをおすすめします。

役割主な担当業務見るべき成果
道内のフィールド営業既存顧客の訪問、道内の新規案件の対応既存顧客の継続・拡大
インサイドセールス道外の見込み客への架電・メール、アポ設定道外の有効な商談の数
オンライン商談担当道外の商談、提案、必要に応じた出張道外の受注

少人数の会社では、一人が複数の役割を兼ねることもあります。その場合でも、「午前は道外への架電に充てる」「週の特定の曜日はオンライン商談だけを入れる」というように、時間で役割を区切ると、新規開拓が止まりにくくなります。

始める前のチェックリスト

  • 道外の最初の対象(地域・業種)が一つに決まっている
  • オンライン商談のツールと進め方が社内でそろっている
  • 道外の顧客に提示できる事例や実績の説明が用意されている
  • サポートや納品をどこまでリモートで行えるかが整理されている
  • 架電の記録を残すCRMやスプレッドシートが用意されている

特に、サポートや納品をリモートでどこまで対応できるかは、道外の見込み客からよく聞かれるポイントです。架電担当が自信を持って答えられるよう、事前に整理しておきましょう。

外部に任せる場合の考え方

道内では、インサイドセールスの経験者を採用するのが難しいと感じる企業も少なくありません。その場合、立ち上げ期だけ外部の支援を受け、スクリプトや運用ルールを社内に残してから内製に切り替える進め方もあります。

依頼先は道外の会社でも構いませんが、打ち合わせのしやすさや、北海道の企業の事情を理解しているかどうかも判断材料になります。リクエッジは札幌拠点で、オンラインにより全国の企業を対象としたインサイドセールスを支援しています。道外開拓の進め方に迷ったときは、対象の絞り込みやスクリプト設計の段階から相談先の一つとして検討してみてください。

よくある質問

北海道の会社から電話すると、道外の企業に警戒されませんか?

所在地そのものより、対応がきちんとしているかを気にされることが多いです。冒頭で「全国のお客様とオンラインで打ち合わせをしている」と伝え、対応体制への不安を先に解消すれば、距離が大きな障害になることは少なくなります。

全国開拓では、最初にどの地域を狙うべきですか?

道内の既存顧客と似た業種が多い地域や、自社の強みが活きる業種が集まる地域から始めるのがおすすめです。対象を一つに絞ることで、反応の良い切り出し方を見つけやすくなります。

オンライン商談だけで受注まで進められますか?

商材によっては可能です。ただし、金額が大きい案件や長期の取引になる案件では、受注が近い段階で一度訪問するほうが進めやすいこともあります。訪問のタイミングを事前に決めておくと判断がぶれません。

札幌でインサイドセールスの人材が採用できない場合はどうすればいいですか?

立ち上げ期だけ外部に依頼し、スクリプトや運用ルールを社内に残してから内製化する方法があります。在宅勤務を前提にした採用も選択肢になります。